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第4回 おいしいものは脂肪と糖でできている! 糖化ストレスのダブルパンチ!(2)

第4回 おいしいものは脂肪と糖でできている! 糖化ストレスのダブルパンチ!(2)

老化をもたらすアルデヒド

糖化ストレスは、体内にアルデヒドができやすい状態を意味します。

アルデヒドは、体内の蛋白質と糖化反応を起こし、分子レベルで変化を起こして終末糖化産物(AGEs)に変化させます。AGEsは、体内に次第に蓄積してゆきます。ホルモン作用をもつ蛋白質や収縮機能をもつ筋肉の蛋白質がAGEsに変わると、その機能が失われてしまうのです。

糖化ストレスは、分子レベルで老化を起こす危険因子です。つまり、アルデヒドの生成を抑えれば、老化のリスクを回避できるのです。

アルデヒドは大きく4つの原因から作られます。

原因その1:食後高血糖

空腹時血糖値が正常範囲(90~100 mg/dL)であっても、食後急激に血糖値が上昇して140 mg/mL以上になる現象を「血糖値スパイク」と呼び、血管の壁を傷つけると言われています。しかし糖(グルコース)そのものが血管壁に傷害を起こすわけではありません。糖にはそれ程のパワーがありません。

血糖値スパイクがきっかけになって、同時多発的に多種類のアルデヒドが生成されることがわかっています。アルデヒドが手当たり次第、周囲の蛋白質を攻撃して、血管の壁を傷つけます。細胞膜を通過して、細胞内や血管外の組織中の蛋白質をAGEsに変えてゆくのです。

原因その2:飲酒

お酒に含まれるアルコール(エタノール)が代謝されるとアセトアルデヒドができます。アセトアルデヒドは顔が赤くなったり、心臓がドキドキしたり、吐き気を催したりする原因物質です。ビール1杯で顔が赤くなるタイプの人は、血中にアルデヒドが長くとどまっているので、お酒の飲み過ぎには特に注意が必要です。

原因その3:喫煙

タバコの煙に含まれる有害物質としてニコチンやタールが有名ですが、忘れてはいけないのがアルデヒドです。最近はやりの加熱式タバコや電子タバコの蒸気や呼気には、ニコチンやタールが減った分、アルデヒドの割合が増えています。そのため新型タバコ喫煙者の周囲ではツーンとした匂いがします。敏感な人は目がチカチカするでしょう。アクロレインやグリシドアルデヒドは新型タバコの蒸気に含まれる要注意アルデヒドです。

タバコの煙に含まれるアルデヒド

原因その4:油(脂質)

脂質からアルデヒドができることは最近になって脚光を浴びています。

油の重要な構成成分である脂肪酸から生じるので、脂肪酸由来アルデヒドとも呼ばれています。脂質が多い臓器や器官では、病気の発症に深くかかわっています。

例えば、脳は重量の約6割が脂質です。アルデヒド過剰によって、アミロイドβ蛋白質やタウ蛋白を始めとする重要な蛋白質がAGEsに変化して、認知症が進展するという説もあります。

もう一つの例は、肝臓に脂肪がたまった脂肪肝です。脂肪肝が進行すると、炎症と線維化が加わって、脂肪性肝炎になります。詳しい仕組みはまだわかっていませんが、アルデヒドの関与が強く疑われます。脂肪性肝炎の名称が最近「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」からMAFLD(metabolic dysfunction-associated fatty liver disease)に変わりつつあります。MAFLD は脂肪肝に「肥満」「2 型糖尿病」「2 種類以上の代謝異常」のいずれかが併存している疾患概念です。脂肪性肝炎の病因には「脂質」だけでなく「糖質」の代謝異常が両輪の如く重要な役割を担うことにようやく気付いたネーミングです。脂肪性肝炎は「糖質」と「脂質」由来アルデヒドのダブルパンチが原因と捉えるとわかりやすいと思います。

2024年8月に日本消化器病学会からのお知らせ(https://www.jsge.or.jp/news/20231121/)がありました。それによればNASHについて再度名称変更したようです。名称はより複雑になっています。ここに記載すると益々混乱するので、あえて名前は書きません。

脂質からアルデヒドができるきっかけ

脂肪酸は、抗酸化作用のある「不飽和脂肪」と、抗酸化作用のない「飽和脂肪酸」に分けられます。不飽和脂肪酸は、抗酸化作用を発揮する時には、自身が酸化されて飽和脂肪酸に変化します。飽和脂肪酸がさらに酸化すると、過酸化脂質とアルデヒドに変化します。しかし、この反応(脂肪酸の酸化によるアルデヒド発生)は、抗酸化物質では完全に抑制できません。おそらく、紫外線、放射腺の暴露や他のアルデヒドとの反応によっても、脂質由来アルデヒドができると思われます。

重要な点は、他のアルデヒドが脂肪酸を攻撃した時にも、新たな脂質由来アルデヒドができることです。血糖値スパイク⇒アルデヒドスパークから生じる糖質由来アルデヒドも脂質由来アルデヒドができるきっかけになるのです。これが糖質と脂質のダブルパンチです。

毎日新聞医療プレミア2024921日記事。米井嘉一「老化をもたらす栄養素って? 糖質とのダブルパンチで認知症や脂肪性肝炎のリスクも」。

糖と油のダブルパンチで、アルデヒドが大量発生します。脂質の多い脳や脂肪肝といった臓器で特に危険があります。飲酒、喫煙が加わるとさらに危険度が増すのです

糖と脂肪(脂質)が老化を起こす

現代人に多い食習慣は糖分と油分の取り過ぎです。1日の摂取カロリーのうち炭水化物の割合が65%以上、脂質の割合が25%以上、蛋白質の割合が10%以下の人が多い可能性があります。おいしい物は糖と脂肪(脂質)でできています。これらを食べすぎて、運動不足が加わると、確実におなかがふくらんできます。これが内臓肥満であり、メタボリックシンドロームと診断されます。

「脂質」はカリローが高いため、脂肪として貯留し、血中の中性脂肪(トリグリセリド=TG)の値が高くなります。脂肪細胞、肝細胞や骨格筋細胞の脂肪滴を形成し、この中にTGが貯留します。体内に脂肪酸がたっぷりある状態に、「糖質」の影響、すなわち糖質由来アルデヒドの影響が加わるのです。

メタボリックシンドローム(境界型を含む)の人は、インスリン抵抗性が強く(インスリンが利きにくい状態)、血糖値スパイクが起きやすく、アルデヒドが大量に発生します。アルデヒドが脂肪を攻撃して、脂肪酸由来アルデヒドが大量に生じることになります。

脂肪酸アルデヒドを血中で測定できるようになったのは、2022年、2022年頃のことです。それまでは脂質由来アルデヒドはあまり注目されていませんでした。しかし「糖」と「油」を取り過ぎると、相乗効果でアルデヒドが大量に発生します。特に脳や脂肪肝状態の肝臓は、脂質由来アルデヒドが発生しやすく、認知症や脂肪性肝炎のリスクが高まるので要注意です。

蛋白質をしっかり取ろう!

そこで、栄養バランスを考えて、不足している蛋白質を取ることを忘れないでください。

目標は1日の摂取カロリーの15%から20%です。2,000 kcal摂取の人では75 gから100 gが目安です

蛋白質を2割摂取するというのは結構大変なことです。1日の総摂取カロリーを2,000 kcalとすると、そのうち2割ということは400 kcal。蛋白質1 gは4 kcalですから、400 kcal摂取するためには蛋白質を100 g摂取しなくてはなりません。

例えば牛肉を100 g食べても、蛋白質の量は約23 gです。主要な食材の蛋白質含有量を提示しますので、参考にしてください。蛋白質を70 g以上取れるように、1日の食事メニューを工夫してみましょう。食事だけでは目標に達しない場合は、プロテインやアミノ酸サプリメントが助けになります。

最近わかった大きなメリットがあります。アミノ酸は血中でアルデヒドと反応して消去(トラップ)する作用があります。十分に蛋白質を摂取している人では、血中アミノ酸濃度が高く保たれているため、アルデヒドを消去する能力が高く、食後高血糖に続発するアルデヒド大量発生(アルデヒドスパーク)が起きにくいのです。

「糖質」と「脂質」ばかりではなく、ぜひとも蛋白質をしっかり取るようにしましょう。大切なことは、糖質と脂質を食べ過ぎないことです。

蛋白質の適正摂取には他にもメリットがあります。例えば、若さと健康を保つための重要なホルモンの一つである成長ホルモン分泌への好影響です。炭水化物の摂取が過剰になると成長ホルモンが出にくくなります。成長ホルモンは蛋白の分解産物であるアミノ酸からできています。従って材料となる蛋白質の適正摂取が重要です。炭水化物摂取が増えると、インスリンが多く必要になり分泌量も増えます。膵臓から分泌され血糖値を下げるホルモンのインスリンは、成長ホルモン分泌を抑制することが分かっています。

簡単!栄養andカロリー計算(http://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/protein.html)を参考に筆者作成

蛋白質摂取の上限はあるのか?

なんでも食べ過ぎは禁物です。人間の胃袋の大きさは決まっているので、食物の摂取量には限界があります。限界を目指すと「食べ過ぎ」になるので、おおむね「腹八分目」が目標になります。

食育を語る時に注意すべきことは、ライフステージによって大きな違いがあることです。

必要な蛋白質も変わります。乳幼児、小児は成長するので多めに必要です。成長期を終えた成人でも、妊婦や授乳婦は子どもの成長の分も加味しなくてはなりません。

高齢者では、咀嚼(そしゃく)能力の低下、消化・吸収率の低下、運動量の低下に伴い、蛋白質の摂取量が低下することが多くなります。また、機能には個人差があり、個人差の大きさは加齢にともなってますます広がります。何らかの疾患を抱えていることもあるでしょう。

おそらく多くの方々が、自分がどのくらいの量の蛋白質をとったら良いか、わからないことでしょう。

蛋白を摂取出来きる量は年齢や人種、消化管機能によって様々

基準になる資料としては、厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準」(2020年版)があります。500ページ近い大作で、年齢区分、運動量別に詳細な基準が設定されています。

65歳以上の蛋白質の摂取量(摂取カロリーに占める割合)は、それまで13%以上だったのが、15%以上に引き上げられました。特に、筋肉量の維持や虚弱化(「フレイル」と呼んでます)の予防のためには蛋白質が欠かせないからです。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)より。活動量はI(低め)、II(普通)、II(多めです)。

一方で、蛋白質の摂取の上限については、いろいろな情報があります。これは、年齢、人種、消化管機能(特に膵臓パワーが重要)、食習慣、腎臓機能、歯並び、そして腸内細菌叢の違いよって大きく変わるからです。 したがって上記の表の上限値は、無難な数値(老若男女、多くの人に安全な値)が書かれています。頑強な若者であれば、蛋白質の摂取量が30%を超えても問題ない場合もあります。しかし実際の摂取量は2割にも満たないと思います。

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