福利厚生と手当は、従業員の生活を支援するにあたって欠かせない制度です。従業員が働きやすい職場環境を整えるには違いを理解し、適切に使い分ける必要があります。
本記事では、福利厚生と手当の違い、それぞれの種類、課税・非課税となるケースも解説します。これから福利厚生と手当を充実させたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
福利厚生と手当の違いは?
福利厚生と手当の大きな違いは、対象となる従業員です。他にも法律上の扱いやルールなど、細かな違いがあります。
●福利厚生とは全従業員が対象の制度
福利厚生とは、企業で働くすべての従業員を対象に与える設備やサービスのことです。法定福利厚生と法定外福利厚生の2種類があります。
福利厚生は、2020年4月に施行されたパートタイム・有期雇用労働法により、正社員と同等の業務を行うパート、有期雇用労働者にも平等に与えなければなりません。2022年10月には、アルバイトにも社会保険の適用が拡大したことで、今後いっそう福利厚生の重要性が高まると見てよいでしょう。
●手当とは条件に該当する従業員が対象の制度
手当とは、特定の条件を満たす従業員に対し、給与や賞与に上乗せする形で支給する金銭的報酬のことです。法律で支給が義務付けられているものと、企業が任意で支給できるものの2種類があります。
しかし、実際は、企業が任意で支給する手当を福利厚生にするケースが多いことから、一部の手当は福利厚生としての性格を有していると言えるでしょう。
福利厚生の種類
ここからは、福利厚生の種類を解説します。
●法定福利厚生
法定福利厚生とは、労働基準法などで導入が義務付けられている福利厚生です。従業員を常時雇用している場合は、事業の規模や内容にかかわらず、すべての法人企業で導入しなければなりません。
法定福利厚生の種類は、以下の6つです。
種類 | 内容 |
健康保険 | 従業員がケガや病気などで医療機関を受診した際に、かかった医療費を一部負担する制度 |
厚生年金保険 | 全国民が加入している国民年金保険にプラスして支給される公的年金制度 |
介護保険 | 従業員が要介護・要支援の認定を受けた際に、介護サービスの利用料を一部負担する制度 |
雇用保険 | 従業員が失業や休業をした際に給付金を受給する制度 |
子ども・子育て拠出金 | 児童手当や子育て支援事業などの費用を企業が拠出する制度 |
法定福利厚生は、企業が費用の一部または全額を負担することで、従業員に経済的な利益をもたらします。いずれも従業員の生活を守るうえで欠かせない制度です。
●法定外福利厚生
法定外福利厚生は、法定福利厚生と異なり導入の義務はなく、企業の任意で設定できます。代表的な制度として、以下のようなものがあります。
種類 | 内容 | 具体例 |
通勤・住宅に関するもの | 通勤にかかる費用や住宅の支援を行い、従業員の生活を支える制度 | ・社宅や寮の提供 ・バスの運行 ・定期券の支給 |
医療・健康に関するもの | 医療の利用促進や健康増進を図る制度 | ・人間ドックの費用補助 ・スポーツジムの利用券や割引券の支給 |
慶弔・災害に関するもの | 従業員に慶事・弔事、災害による被害があった場合に支援を行う制度 | ・慶弔見舞金 ・慶弔休暇 |
財産形成に関するもの | 社内預金やセミナーへの参加費用の補助を通して、従業員の財産形成を支援する制度 | ・財形貯蓄制度 ・社内預金制度 ・ストックオプション制度 |
育児・介護に関するもの | 従業員が仕事と育児・介護の両立を円滑にできるように支援する制度 | ・企業内保育所の設置 ・時短勤務制度 ・フレックスタイム制 |
研修に関するもの | 従業員の能力・スキルの向上を目的とした研修の実施、購入した書籍の費用を一部負担する制度 | ・社内研修 |
休暇・レクリエーション | 従業員のリフレッシュや社内コミュニケーションの活性化を促す制度 | ・特別休暇 ・社員旅行や懇親会の費用負担 |
食事補助 | 従業員に食事を提供して、健康管理を図る制度 | ・社員食堂の運営 ・弁当や食事券の支給 ・社食サービスの運用 |
最近では、独自の法定外福利厚生を導入して、企業のイメージアップや定着率向上を図る企業も増えています。従業員のモチベーションにも大きな影響を与えることから、できる限り導入したほうがよいでしょう。
ただし、導入にはコストがかかるため、従業員のニーズを把握したうえで、慎重に検討することが大切です。
手当の種類
次に、手当の種類を解説します。
●法律で支給が義務付けられている手当
法律で支給が義務付けられている手当は、以下の3つです。
種類 | 内容 |
残業手当 | 所定労働時間(1日8時間)を超えて労働した従業員に対して支給する手当 |
深夜手当 | 22時~翌5時の深夜帯に労働した従業員に対して支給する手当 |
休日手当 | 法定休日に労働した従業員に対して支給する手当 |
上記の時間外労働を従業員に行わせる際は、基本給に所定の割合をかけた割増賃金を支給しなければなりません。手当の支給を怠った場合は違法となり、罰則を課せられることもあるため、必ず守るようにしましょう。
●企業が任意で支給できる手当
企業が任意で支給できる手当には、以下のようなものがあります。
種類 | 内容 |
通勤手当 | 電車やバス、自家用車、自転車で通勤する従業員に対して、かかった費用の一部または全額を補助する手当 |
住宅手当 | 賃貸物件の家賃や住宅ローンの返済額を一部負担する手当 |
家族・扶養手当 | 同居する家族または扶養する家族がいる従業員に対し、家計の負担を軽減することを目的に支給する手当 |
役職手当 | 課長・部長など特定の役職に就いている従業員に対し、責任の対価として支給する手当 |
資格手当 | 業務上有益な資格を有する従業員に対して支給する手当 |
皆勤手当 | 一定期間欠勤や遅刻がない従業員に対し、褒賞として支給する手当 |
食事手当 | 従業員の食事代を一部負担する手当 |
冒頭でも解説した通り、企業が任意で支給できる手当は、福利厚生として導入されるケースもあります。通勤手当や住宅手当、食事手当などが良い例でしょう。物価高騰による家計の負担を軽減するためのインフレ手当や、在宅勤務者を支援するためのテレワーク手当など、時代に即した制度も普及しつつあります。
しかし、企業側の金銭的負担が大きいことから、すべてを導入することは現実的ではありません。法定外福利厚生と同様、従業員にとって本当に必要な手当を検討することが重要です。
福利厚生と手当は課税の対象?
福利厚生は基本的に非課税ですが、福利厚生費が一定額を超える場合や金銭として与える場合は、課税対象となることに注意が必要です。手当は原則として課税対象であるものの、特定の条件を満たすことで、非課税にできます。
ここからは、福利厚生で課税されるケースと手当で非課税となるケースを確認しましょう。
●福利厚生で課税されるケース
福利厚生の課税・非課税を判断するポイントは、給与として扱われるかどうかです。たとえば、以下のケースは課税される可能性が高いでしょう。
<現金を支給して健康診断を受けさせる>
従業員に現金を支給して健康診断を受けさせる場合は、支払った現金が給与として扱われ、課税対象になります。
ただし、以下の場合は健康診断費用の補助が非課税となります。
- ・企業が直接医療機関に費用を支払っていること
- ・すべての従業員が受診対象であること(一定の年齢以上で受診する項目については、対象者全員が受診できること)
- ・健康診断の内容が常識の範囲かつ、従業員の健康管理に必要なものであること
- ・すべての従業員の費用を企業が負担していること
福利厚生は、基本的に現物支給でなければ福利厚生費として認められません。従業員に一旦健康診断の費用を立て替えてもらい、後から支給する場合も福利厚生費に計上できないため注意しましょう。
<社宅や寮の家賃の50%以上を企業が負担する>
社宅や寮の家賃補助は、家賃の50%以上を企業が負担すると給与扱いになり、課税されます。非課税となるためには、以下の条件を満たすことが必要です。
- ・家賃の50%以上を従業員が負担していること
- ・従業員が負担する家賃を給与から天引きしていること
- ・企業が契約している物件であること
- ・企業が直接不動産会社または家主に家賃を支払っていること
上記の条件を満たすことで福利厚生費として認められ、経費計上ができます。
<換金性の高い物品を支給する>
換金性の高い物品を支給した場合、たとえ現物支給であっても課税される可能性があります。例として、以下のようなものが挙げられます。
- ・旅行チケット
- ・商品券
- ・ギフトカード
- ・家電
- ・高級なスーツやバッグ
ただし、業務上必要な制服や衣装などは福利厚生費として認められます。
<食事補助を現金支給または月3,500円を超えて行う>
食事補助は、現金支給または従業員一人につき補助額が月3,500円を超えると課税されます。非課税で食事補助を行うには、以下の条件を満たす必要があります。
- ・従業員一人あたりの補助額が3,500円以下であること
- ・従業員が食事代の50%以上を自身で負担していること
なお、残業または宿直などの業務で支給する食事については、企業が食事代の全額を負担しても課税されません。
●手当で非課税となるケース
手当は給与の一部として支払うため、ほとんどが課税対象です。しかし、業務上必要と認められ、かつ支給額が一定額以下の場合は非課税にできます。
具体的には、以下のようなケースが挙げられるでしょう。
<通勤手当が月15万円以下>
通勤手当は基本的に給与として課税されますが、支給額が月15万円以下の場合は非課税です。ただし、電車・バスなどの公共交通機関を使った通勤方法に限られます。自家用車や自転車で通勤する従業員に手当を支給する場合は、片道の通勤距離によって非課税となる限度額が異なるため注意しましょう。
なお、2km未満の通勤距離を自家用車や自転車で通勤する場合は、手当の全額が課税対象です。
<業務上必要な転勤・出張・旅行にかかった費用>
業務上必要と認められる転勤・出張・旅行にかかった費用は、国内外問わず経費として認められるため、非課税です。代表的なものに、転勤の支度金、出張で利用した交通機関やホテルの代金、海外渡航費などがあります。
ただし、私的な目的を含むものや同行する親族の旅費・交通費は対象となりません。
<1回の勤務につき4,000円以下の日直・宿直手当>
1回の勤務につき支給された4,000円以下の日直・宿泊手当も、課税の対象外です。病院や介護施設など、日直・宿直の業務がある事業所は注意しましょう。
福利厚生と手当を使い分けるポイント
自社で福利厚生と手当を導入する際は、以下のポイントに沿って使い分けると良いでしょう。
●従業員のエンゲージメント向上・定着を図るなら福利厚生
従業員のエンゲージメント向上や定着率アップを図るなら、福利厚生が効果的です。厚生労働省の研究機関が2020年に行なった調査によると、福利厚生への満足度が高いほど「働き続けたい」と回答した人が多かったといいます。従業員にとって福利厚生は、現在の企業に勤め続けるかどうかを決める判断材料の一つです。従業員のニーズや地域性、ワークスタイルに合わせて福利厚生を導入すれば、従業員の満足感が高まり、早期離職の防止につながることが期待できるでしょう。
●従業員のモチベーション・能力アップを狙うなら手当
従業員のモチベーション・能力アップを狙うなら、手当を導入するとよいでしょう。手当は、勤務時間や役職、業績など、労働の対価として支払う報酬であるため、従業員が努力したり能力を磨いたりする目標になります。たとえば、従業員のスキル向上を促したいのであれば、資格手当が有効です。
ただし、手当だけでは従業員の平等性を確保できないため、福利厚生と組み合わせてバランスよく導入することがポイントになるでしょう。
食事補助の福利厚生なら設置型社食サービスのオフィスプレミアムフローズンがおすすめ!
税金の負担を抑えて福利厚生を充実させたい場合は、食事補助を取り入れてみてはいかがでしょうか。食事補助の福利厚生なら、設置型社食サービスのオフィスプレミアムフローズンがおすすめです。
●設置型社食サービスとは
設置型社食サービスとは、社内に冷蔵庫や電子レンジを置くだけで、軽食や惣菜を提供できる社食サービスです。導入コストが安く、食堂を運営するリソースやスペースがなくても手軽に設置できることから、中小企業を中心に導入が進んでいます。企業が支払うものはサービス料と電気代のみで、従業員は100円から食事を購入できるため、低コストの食事補助と従業員の負担軽減の両方を実現できるでしょう。
●オフィスプレミアムフローズンを導入するメリット
<低価格・高品質のメニューで誰でも利用できる>
オフィスプレミアムフローズンは、月160点もの商品を取り揃えています。すべての商品が100~200円で購入可能なため、従業員の食事代の負担を軽減しつつ、満足度の高い食事を提供できます。24時間稼働で、昼食はもちろん、残業時や夜勤、宿直の従業員にも食事を提供できることもメリットです。
<メンテナンスがいらない>
オフィスプレミアムフローズンでは、冷蔵庫と電子レンジの貸与・設置を行なっているため、スペースさえあればすぐに導入できます。また、商品や耐熱皿の補充、代金の回収、設備の清掃・点検もすべて配送スタッフが行うため、企業側でメンテナンスを実施する必要はありません。
<企業のブランディングにつながる>
オフィスプレミアムフローズンの設置型社食サービスは、企業のブランディングにも役立ちます。提供する商品は、すべて化学的合成添加物不使用です。健康に配慮した商品が多いことから、健康経営を目指す企業として社内外にアピールできるでしょう。
また、オフィスプレミアムフローズンは、雇用形態、年齢、性別を問わず誰もが公平に利用できるサービスです。すべての従業員を対象に福利厚生として導入すれば、採用活動でも有利に働くことでしょう。
まとめ
福利厚生と手当は、対象となる従業員以外に、法律上の扱いやルール、課税・非課税となる条件など、さまざまな違いがあります。従業員にとって働きやすい職場環境を整えるためにも、それぞれの違いを理解して効果的に使い分けましょう。
しかし、福利厚生と手当の導入にはコストがかかるため、中小企業などの小規模の事業所では福利厚生と手当を多く導入することが難しいのが現状です。
オフィスプレミアムフローズンの設置型社食サービスなら、少ないコストで手軽に食事補助を導入できます。初期費用0円で、月3万円台から導入可能です。福利厚生でお悩みの企業は、ぜひオフィスプレミアムフローズンをご検討ください。